鑑定士詳細コメント

 土質 

『土の粘土が37.5%~50%の土壌を埴壌土、25%~37.5%を壌土、50%以上を埴土と言います』現地調査を行い、土で団子を作り指で細かくバラける状態を確認。砂が多く含まれている事は確認できず、また埴土のように粘土が高すぎて排水性や通気性の悪い土質でないと判断し埴壌土と確定しました。 


 登熟期の昼夜温度差 

goo天気甲府の過去天気情報より最高気温、最低気温を調べた結果です。出穂後40~50日を指します。8月15日~10月までの45日間の昼夜温度差平均値は10.9度でした。例年に比べ良い寒暖差であると言えます。

 平均日照時間 

甲府市のデータを基に、日の出、日の入り時間(6月~10月)を基準とした日照時間を調べました。日が長い時(6月~8月)で『日の出4時30分、日の入り19時』約14時間30分、短い時(9月~10月)で『日の出5時30分、日の入り17時30分』約12時間。北杜市須玉町は日照時間日本一の明野村の隣に位置する町であり、稲作にとって良い日照条件の生産地であると言えます。


 水環境 

取水は須玉川、南八ヶ岳を水源とする名水川俣川の下流が須玉川となります。途中大門川の大門ダムの流水と合流する為、有機物含有量の上昇が認められます。河川周辺には民家がありますが、下水道整備は済んでいるので生活排水の流入はほとんどない川とはんだんします。総合して一般河川と確定しました。 


 苦土マグネシウムの施肥量 

有機肥料を80%以上使用しているので、田んぼの酸性化がほとんどない為、市販の苦土石灰を10aに約80キロ前後(少なめに)施肥しています。


 水田の減水深/日 

田植え後、朝田んぼに水をいっぱいに貯め夕方に何センチ水位が下がったかによって、土の排水性や、粘土を調べるものです。今回のチェックリスト作成時においてすでに調べることができませんでしたので、加点無しとしておきます。

 CEC(土が肥料を保持する力) 

肥料を保持する力が高すぎても稲に栄養を供給できません。土壌の詳しい状態を株式会社ジャットにて分析した結果内容より判断確定しました。


 実肥のチッソ量 

栽培履歴より、約250キロ/10a
窒素含有量は約500g/20キロ
10aあたり約4キロ
CECや土壌条件にもよりますが、収穫量の増減に影響します。食味を良くするには投入量が多いと言えます。


 農薬使用回数 

アイガモ農法によって除草剤、殺虫剤などの一般的に農薬と呼ばれているものの使用をゼロにしています。育苗時に立ち枯れ病を予防する農薬を床土に5%使用している事を除けば、無農薬栽培と呼ぶに等しいレベルです。 


 堆肥の年間使用量 
 有機栽培歴 

生産者のアイガモ農法、有機肥料80%以上使用は14年前から行っており、有機肥料の適切な投入量などの経験も豊富で、常においしいお米になるような、有機肥料の配合を研究しています。


 生物多様性 

畦や水路を歩いて観察します。多くの生き物に生息・生育環境を提供し生態系の維持のために田んぼは貢献しています。多くの生物が生息するということは田んぼの大きな付加価値の一つです。数十種類の生物が生息していますが、今回のチェックリスト作成時には時期てきな事も含め本格的な調査はできませんでした。。カエル、赤トンボ、蜘蛛、カマキリ、イナゴ、シマヘビ、トカゲ、オケラ、タニシ、オタマジャクシ、ホウネンエビは確認ずみです。酷い自然環境ではないと判断します。今回は加点無しとします。
 乾燥方法 

乾燥は稲作を始めた当初からはざ掛けによる天日干しのスタイルです。はざ掛けは茎をつけたまま太陽の光と風でゆっくり乾燥するので最後まで養分が米粒に行き渡り、一般的に甘み、旨味が増すという説があります。


 保管法 

低温管理できる設備がない為、常温モミ貯蔵。販売に合わせ必要分の籾擦りを行っています。気温が15度を超えてくる4月以降の貯蔵、定温管理が課題と言えます。チェック項目にない保存方法ですが、マイナス評価にはならないので、加点無しとします。

 安全性確認 

農薬は育苗時の床土に立ち枯れ病予防薬を5%使っているのみです。化学肥料は有機肥料の比率を80%以上にして、使用量を減らして安全性を重視した米作りへと転換中です。

 種モミ 

毎年変えた方が良いのは知っていますが、二年に一度種換えをしています。